坂下営林署のモーターカー(自動トロリー)

巡視や保線、救急など多目的に使える作業用車。 中でも1t未満の小型のものは「自動トロリー」という方が多いようだ。 木曽谷の森林鉄道(西 裕之/著 ネコ・パブリッシング)によると坂下署にはNo.11、No.25の2台が配置されていたことになっている。 配置が坂下、田立、湯舟沢のいずれかは分かっていない。 どちらも岩手富士産業製0.2t機T-52Eと見られ田口、田峰森林鉄道のモーターカーと同型。 No.11は1951(昭和26)年、No.25は1952(昭和27)年購入で2車とも1962(昭和37)年度まで坂下署に在籍していたことになっている。
一方で長野営林局事業統計書(長野営林局)では本ページ一番下の表のようになっており実際のところは不明。

岩手富士産業T-52E型四輪動力軌道車
スペックは林業機械(三品忠男 著/林野共済会)より。 ジュラルミン製モノコックボディは金属無塗装だったようだ。 国内ではアルミ、ステンレスボディの電車も登場する前(国鉄にジュラルミン製のモハ63形・・・通称「ジュラ電」はあったが)で時代を先取りしたかのような外観。 変速はバイクのように自動遠心クラッチが使われており、機関車のようなクラッチ操作は不要。 運転席は右側で助手席との間にエンジンや燃料タンクが収められていた。 ヘッドライトは両側ではなく助手席側一灯のみ(運転席側にあるヘッドライト状のものは警笛)。 尾灯は前後に1灯ずつ付いており、後ろにヘッドライトは付いていない。 エンジンカバー助手側には手回しサイレンを装備。
完全なオープンカーで雨天時などのためホロ屋根があったとは思うが不明。これ以降のモデルは屋根付きのものとなっている。 ジュラルミンは軽量で加工し易く強度も高い反面、無塗装では腐食に弱いので日陰で湿っぽい線路が多い林鉄にはあまり適していなかったのではないだろうか。
自重:230kg
全長:2,035mm
全幅:1,428o
全高:805mm
定員:5人
最大搭載量:500kg
エンジン:中日本重工業セントラルコミパワーCE-30 4サイクル空冷ガソリンエンジン
最大馬力/常用馬力:5HP/4HP
変速装置:前後進各2段 自動変速
クラッチ:自動遠心クラッチ


1954(昭和29)年以降 坂下営林署モーターカー数(坂下、田立、湯舟沢)(長野営林局事業統計書(長野営林局)各年度 より作成)
年月日モーターカー
1954(昭和29)年4月1日3
1955(昭和30)年4月1日2
1956(昭和31)年4月1日3
1957(昭和32)年4月1日3
1958(昭和33)年4月1日3
1959(昭和34)年4月1日1
1960(昭和35)年4月1日0
1961(昭和36)年4月1日0
1962(昭和37)年4月1日0
1963(昭和38)年4月1日0



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