路盤はしばらく寒狭川や国道257号線と平行して、支流の当貝津川が分かれるところで今度は当貝津川左岸を国道420号線と共に遡ることになります。 沿線で比較的大きな三都橋(みつはし)集落では林鉄は集落内を通っていました。 国道420号線より一段高いところに集落内に入って行く路盤が見えます。 地元の方から伺った林鉄の側線があった場所。奥が竹桑田方。町道より一段下の田園との間に木が茂った場所で一見分かり辛い所です。 段戸山軌道位置図(其一)によるとこの側線は竹桑田側から分岐する行き止まり式の構造となっていました。 ここでは裏谷から段戸林道(現・愛知県道365号線)を下って来たトラックまたは荷馬車から林鉄へ木材の積み替えを行っていたのかも知れません。


1枚前の写真から町道上へ登ったところ。左に見える白い車の位置から奥へは町道が林鉄跡を利用しているとのこと。 この林鉄跡の道路左辺りに新城営林署の三都橋担当区官舎があったようです。



地元の方にご案内いただいて見ることができた弁天川橋梁跡。 官舎から当貝津川としばらく分れ支流の弁天川(現在の地形図では粟島川)沿いに遡ってから木橋で弁天川を渡っていました。 奥(竹桑田側)に橋台とコンクリート橋脚が一基見えています。 全長24.54m桁1.82m×1連+桁2.43m×1連+方杖5.45m×3連+方杖3.94m×1連。 単位が端数なのは尺貫法で設計、架橋されたためのようです。


昭和五年度 段戸山軌道開鑿工事土工、棧橋、其他定規図(国立公文書館つくば分館所蔵)
辨(弁)天川橋梁構造図。尺単位の数値を記載した後でm単位を追記したようです。 この図面では木製橋脚を直接地面に建てていますが後に竹桑田側(右の桁橋部分)が災害復旧か線路改良によりコンクリート橋脚に改修されたようです。 鰻沢線は開業時期が古いためか橋脚根元にもコンクリートを用いず全て木造で架橋したところが多いようです。 あまり橋脚が残っていないのはこの橋梁構造のためでしょうか。


愛知県道365号田峯三都橋線三都橋側の1段目ヘアピンカーブと交差していた林鉄跡。 右の住宅手前側を線路が横切っており、右奥の方が弁天川橋梁で左には交換所がありました。 奥に見えるのは旧・三都橋小学校(1997(平成9)年閉校)で林鉄開業時には学校を会場として開業記念式典が開かれました。 ヘアピンカーブ上から交差を見た様子。 右の平場より一段低い位置にある住宅の手前が交換所ですが人様のお宅の門から庭先を写すことになるので自重。 鰻沢、栃洞から乗り下げで下って来た運材貨車はここで一旦集まり後続の機関車を待って編成を組み、勾配の緩くなる竹桑田までは機関車牽引を行っていました。


田峰森林鉄道鰻沢線2へ 田峰森林鉄道鰻沢線4へ 新城営林署の森林鉄道TOPへ


inserted by FC2 system