雨宮21号の動態保存で有名な丸瀬布いこいの森の動態保存線機関区内で静態保存されている半キャブ10t機。
機械番号不明の1961(昭和36)年12月佐藤工業富山工場製10t機。
製造番号C-107。 足回りは除雪装備で覆われているもののロッド駆動式です。 移動機としての形式はF3、F4形のいずれかと思われますが詳細は不明。 圧搾空気で可動する除雪装備が目立ちます。 数少ない佐藤工業製の半キャブで他に現存するのは稲沢の10t機がいます。 いこいの森で動態保存されている雨宮21号が使われた武利意・上丸瀬布森林鉄道の起点石北本線丸瀬布駅構内で貨車入換や構内除雪に使われたとあります。 当機が登場した頃には森林鉄道も末期で2年後の1963(昭和38)年には全廃されているので林鉄機関車とはあまり活躍時期が被っていません。 林鉄亡き後トラック輸送に切り替わった木材輸送。 それでもまだ当時は丸瀬布営林署の駅土場から消費地までは鉄道輸送が行われていました。 10t半キャブはこれらの木材を積載する貨車の出し入れに活躍していたのでしょう。 丸瀬布駅には営林署や木材業者など木材関係のほか住友金属鉱業の専用線がありました。 峠を越えた紋別市で金を掘っていた鴻之舞鉱山から索道、後にはトラック輸送で鉱石が輸送されていたようです。 |
上回りは一般的な10t半キャブタイプ。 よく目立つ可動式スノープラウは複線型とは逆向きに付けられており、本線用ではなくあくまで構内側線除雪用。 端梁の向かって左側は斜めにカットされスノープラウが車体にフィットするようになっています。 |
機関区側の側面は緑の柵で防護されて下回りが見えません。冬季に駆動部へ雪が入り込むのを軽減するためか何か? スノープラウが連結相手の車両に干渉しないよう自動連結器が車体から大きく飛び出しています。 |
エンジン側のスノープラウの可動部。ラジエターグリル手前、ボンネット側面に見えるのは砂箱のようですね。 積み上げられた薪の向こうでは旧・鶴居村営軌道→新宮商行釧路のDLが待機中。 | 重装備の除雪装置の間からは駆動用のロッドが見えます。 除雪・耐雪装備を除けば北沢網干産業鉄道DB2や名鉄DB-30形などと同タイプ。 |
非エンジン側。こちら側も同じ装備。通常のエアタンクだけでは不足するためなのかここにも小さなエアタンクが付いています。 | 説明板。「〜昭和32年丸瀬布駅に配置された入換動車〜」とあるので当機が配置される前に別の動車が配置されていたようですね。 |
<丸瀬布駅の専用線>
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参考: | 機関車表フルコンプリート版DVDブック(沖田 祐作/編 ネコ・パブリッシング) |
専用線一覧表(日本国有鉄道貨物局) |
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