名鉄機関車列伝1

電気機関車編


名鉄には現在3形式9両の電気機関車が在籍しています(2009年11月時点)。
現在日常的に機関車牽引の定期列車がない鉄道としては破格の両数ですが、これはかつての貨物営業が盛んだった時代の名残です。
かつて在籍した物を挙げると実に約50両の電気機関車、さらに内燃機関車、蒸気機関車まで存在しており、実にバラエティに富んだ機関車王国の感がありました。
名鉄の貨物輸送は名古屋臨海、衣浦臨海鉄道開業による輸送経路の移転やトラックへの移行により、現在では工事臨時列車と名電築港〜東名古屋港or大江の甲種輸送くらいなものです。 名電築港〜東名古屋港or大江では名古屋臨海鉄道のディーゼル機関車が乗り入れて輸送してしまうため名鉄機は使用されません。
ここではかつて在籍した機関車にも触れつつ、現在活躍中の機関車の写真を載せていきたいと思います。 なお1954(昭和29)年に豊橋鉄道に引き継いで分離した渥美線固有の形式はまた別で取り上げたいと考えております。


デキ1
デキ1
所 属 :尾西鉄道(現在の尾西線)→名古屋鉄道(初代)→名岐鉄道→名古屋鉄道(現)
製 造 :1924(大正13)年 ドイツ Siemens(シーメンス)
両 数 :1両
全 廃 :1960(昭和35)年

尾西鉄道が木曽川橋〜木曽川港(貨)等の入換で使うため発注した電気機関車EL1形。 同じSiemens製の上信電鉄のデキ1形をさらに小さくしたような外観が特徴。
1944(昭和19年)の奥町〜木曽川橋〜木曽川港(貨)休止後も他所で入換に使われる。 集電装置をポールに載せ替え、尾西線佐屋駅から分かれていた旧佐屋川廃川敷の砂利線で使われたこともあるという。 末期は竹鼻線大須駅構内の車輌入換を担当していた写真を見たことあり。
色は他の電機と違い灰色だった(尾西時代から?)が、廃車間際に黒一色に塗色変更。

 車号変遷
  尾西鉄道EL1→名鉄デキ1 1960.8廃車


デキ30 デキ50
デキ31
デキ51
所 属 :名古屋電気鉄道→名古屋鉄道(初代)→名岐鉄道→名古屋鉄道(現)
製 造 :1912(大正元)〜1919(大正8)年 名古屋電車製作所
両 数 :デキ30形2両
      デキ50形3両 後2両はデキ30へ改造
全 廃 :1960(昭和35)年

郡部線(名古屋本線西部、犬山線、津島線等)開業時に用意した名古屋電車製作所製の大型木造ニ軸単車168(号)形が前身の電車改造機関車。 機関車化時にニ軸単車だったものをボギー化(→デキ50形51〜53)。 デキ52,53は戦時中の資材不足によりボギー台車を他車に転用、2軸単車化(→デキ30形31,32)。

 車号変遷
  名電177(?)→511→名鉄(初代)デシ511→名岐→名鉄(現)→デキ51 1960.8廃車
  名電193(?)→526→名鉄(初代)デシ526→名岐→名鉄(現)→デキ52→デキ31 1960.8廃車
  名電196(?)→529→名鉄(初代)デシ529→名岐→名鉄(現)→デキ53→デキ32 1960.8廃車


デキ100
黒一色の頃のデキ102
ゼブラ塗装のデキ102
所 属 :名古屋鉄道(初代)→名岐鉄道→名古屋鉄道(現)
製 造 :1924(大正13)年 名古屋電車製作所
両 数 :4両
全 廃 :1968(昭和43)年

車体中央に荷物室があり、外観上荷物扉が特徴的。 西部線を中心に使われ、名古屋本線や犬山線の架線電圧1500V昇圧に伴い昇圧改造実施。 近年模型化されたせいか有名(?)になったようです。

 車号変遷
  名鉄(初代)デキ101→名岐→名鉄(現) 1965.11廃車
  名鉄(初代)デキ102→名岐→名鉄(現) 1965.11廃車
  名鉄(初代)デキ103→名岐→名鉄(現) 1966.2廃車
  名鉄(初代)デキ104→名岐→名鉄(現) 1968.5廃車


デキ110
黒一色の頃のデキ111
ゼブラ塗装のデキ111
所 属 :東洋紡績(車籍:名古屋鉄道)→遠州鉄道→福井鉄道
製 造 :1951(昭和26)年 東洋電機製造
両 数 :1両
全 廃 :1968(昭和43)年 遠州鉄道へ譲渡

東洋紡績の私有25t電気機関車。 犬山線木津用水駅から東洋紡績専用線が分岐していたため、当専用線発着の貨物列車牽引に使用されていたと思われます。 ただし他線で撮影された写真も見たことがあり、東洋紡以外の貨物列車にも使われていたのかも知れません。
伊勢湾台風時に常滑線復旧作業に使われている写真を見たこともあります。
現在は福井鉄道西武生車庫の入換機となっています。

 車号変遷
  東洋紡(名鉄)デキ111 1968.5廃車→遠州ED213 1975貸出後譲渡→ 福井デキ3


デキ200
瀬戸電気鉄道デキ1(→名鉄デキ201)
ゼブラ塗装のデキ202
所 属 :瀬戸電気鉄道(現在の瀬戸線)→名古屋鉄道
製 造 :1927(昭和2)年 日本車輌・三菱電機・Westinghouse(以下WH)
両 数 :2両
全 廃 :1978(昭和53)年

直流600VのWHタイプ30t電気機関車。 名鉄合併後も1978(昭和53)年の架線電圧1500V昇圧まで終始瀬戸線で名産の瀬戸物輸送等に使われました。
現在はデキ202が瀬戸市民公園で保存されています。

 車号変遷
  瀬戸電デキ1→名鉄デキ201 1978.3廃車
  瀬戸電デキ2→名鉄デキ202 1978.3廃車




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