東芝戦時型の茶ガマ ED31




伊豆箱根鉄道駿豆線には2両の電気機関車が在籍しています。ED31形ED32,33です。
駿豆線の貨物営業は1972(昭和47)年6月に廃止されているので、 現在は工事列車や大雄山線電車を大場工場で検査する際の三島〜大場の回送牽引、大場工場内の車輌入換に使われています。
東芝で1947(昭和22)年に製造されており、スタイルは典型的な東芝戦時型40t機。 かつては同型の機関車が各地にいましたが、現在では現役機と言うと名鉄と三井東圧専用線くらいにしかいません。 当初は西武鉄道の31型32,33でしたが、 早くも1949(昭和24)年には使用電圧を600Vに下げて駿豆線の前身である駿豆鉄道へ2両とも借入れ、 数年後には相次いで正式に譲渡されています。 当時駿豆鉄道は系列会社として岳南鉄道(現在は富士急系列ですが)を開業させ、 手持ちの機関車を譲渡したため、新たに機関車が必要となっていたようです。
後に形式にEDが付いてED31形ED32,33となり、 1959(昭和34)年には駿豆線の架線電圧1500V昇圧に対応して再び1500V仕様に改造されています。



三島駅のJRホームで大雄山線の5000系5001編成をJRの機関車から引き継ぎ発車を待ちます。 かつては国鉄からの乗り入れ客車を牽くこともあったようです。 新しいものではED33と重連でサロンエクスプレス東京を牽いたこともあるとか。



途中三島田町で長時間停車したりで三島から5km程度の距離にもかかわらず50分も掛けて大場駅に到着します。 前面のナンバー表記が向かって中心よりやや右に偏っているのが御愛嬌。



大場駅到着後は推進運転で大場車庫へと入ります。慎重にソロリソロリと踏切を通過して行きます。 この県道は結構交通量があるので、すぐに踏切待ちの長い車列ができてしまいます。



こちらは出場回送の様子。大場〜三島二日町の田園地帯を快走します。 旧型機関車には似合わず意外と高速で走って来ました。



三島に電車を置いて単機で帰ってきたED32。 こうして側面から見ると旧型電車に詳しい方はおわかりでしょうが台車は旧型電車用のTR22を改造したものを履いています。 元は名鉄のデキ600などと同じゴツイ機関車用板台枠台車を履いていたものの、西武時代に電車用のDT12に履き替えました。 なお現在の台車はその後伊豆箱根でさらに履き替えたものだそうです。



大場工場内のED33。
以前はATSや列車無線を装備していなかったため本線にはED32と重連の時以外出られず、大場工場内入換専用でした。
今はED32と同じく本線にも出られるのですが、慣習なのかED32が本線に出てくる方が多いようです。


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