名鉄機関車列伝4

内燃機関車編


名鉄は築港線名電築港から分岐していた非電化の愛知県営側線(後の名古屋臨海鉄道東築、昭和町、汐見町線)で自社所有の蒸気、ディーゼル機関車を使っていました。 これらは1965(昭和40)年に名古屋臨海鉄道が設立されると名古屋臨海機が入換を受け持つようになり、不要となりました。
又各駅から分岐する専用線でも蒸気、ガソリン、ディーゼル機関車が使われていた路線が数多くありました。 これらの専用線の機関車は名鉄の車籍を持っており、国鉄、JRの専用線機関車のような入換機械扱いとは違っていたようです。
とはいえ電機機関車と違い、今では1両も残っていない上に記録も少なく、わからないことがほとんどです。


GS−1
  常 備 :日本石油(名電築港?)
製 造 :1951(昭和26)年 加藤製作所
両 数 :1両
全 廃 :1957(昭和32)〜1958(昭和33)年?

加藤製作所製の8t機。 日本石油の所有ということから愛知県営側線の汐見町から分かれる専用線で使われていたものと思われます。 形式からガソリン機関車と思われますが、"S"が意味不明。 早期に廃車となっているためどのような車輌かはよく分かりませんが、製作時期、サイズ、重量からすると大井川鉄道DB1形とほぼ同型と思われます。


DB−2
DB-2 ※塗色は推定
常 備 :?→東レ岡崎工場(矢作橋)
製 造 :1951(昭和26)年 加藤製作所
両 数 :1両
全 廃 :1969(昭和44)年

最初期に導入されたディーゼル機関車の1両。 標準的な加藤10t入換機。 運行は日通が行っており、矢作橋の東レ岡崎工場専用線で使われていました。 東レ岡崎工場は1960(昭和35)年開設、専用線は1971(昭和46)年まで使われていたそうですがDB-2廃車後はどの機関車が使われていたのかまでは分かりません。 東レ以前は他所で使われていたと思われますが、どこで使われていたかは不明。


DB−3
DB-3
常 備 :愛知県営側線(名電築港)
製 造 :1951(昭和26)年 汽車製造
両 数 :1両
全 廃 :1966(昭和41)年

最初期に導入されたディーゼル機関車の1両。 ジャック軸付きサイドロッド駆動の12t入換機。 私有機が多い中で当機は珍しく名鉄所有だったようです。 愛知県営側線で使われていました。 伊勢湾台風直後は被災した電気機関車の代わりに築港線貨物列車も牽いたそうです。 1965(昭和40)年の県営側線名古屋臨海鉄道移管で不要になり翌年廃車。 その後は秩父鉄道に移ったようですが(鉄道番外録巻末の「ないねんリスト」による)何に使われていたのかは不明。


DB−4
DB-4 ※塗色は推定
常 備 :愛知県営側線(名電築港)
製 造 :1953(昭和28)年 加藤製作所
両 数 :1両
全 廃 :1963(昭和38)年

愛知県営側線の日通機。 たった10年程で廃車になっていますが、伊勢湾台風や劣悪な線路環境で傷みが激しかったのでしょうか?
名古屋臨海鉄道移管後に線路改良されるまで、埋立地の線路は枕木が腐っていたり、塩水を被っていたりで状態は相当悪かったそうです。


DB−5
DB-5 ※塗色は推定
常 備 :日本レイヨン岡崎工場(大樹寺)
製 造 :1954(昭和29)年 日本輸送機
両 数 :1両
全 廃 :1970(昭和45)年

自重8tの全国でよくみられたタイプの入換動車。 挙母線大樹寺駅から分岐していた日本レイヨン(現在はユニチカ)専用線で使われていました。
とは言っても大樹寺〜工場間は電化されており、名鉄電機が直接乗り入れてたので工場内の入換が任務でした。
DB-76が導入されたことで入れ替わりに引退したようです。 他所に移ったのか廃車されたのかは不明。
この専用線は1971(昭和46)年10月に国鉄岡多線(現愛知環状鉄道)北岡崎信号場(1976(昭和51)年の旅客営業開始時に駅へ昇格)へと起点が付け替えられ、当時所属していた入換機も名鉄籍を離れました。


DB−6
DB-6 ※塗色は推定
常 備 :愛知県営側線(名電築港)→東レ(東名古屋港)
製 造 :1955(昭和30)年 加藤製作所
両 数 :1両
全 廃 :1970(昭和45)年

愛知県営側線の日通機。他所でも多くの同型15t機が見られました。 DB−4のバージョンアップ版という雰囲気で、ボンネットに丸みが付いたり、キャブの屋根が高くなるなどの変化が見られます。 名古屋臨海鉄道には引き継がれていないため1965(昭和40)年頃には名電築港からは転属していた模様。 1970(昭和45)年、名古屋臨海から出戻ったDB-9と交代で廃車となったようです。
名鉄での廃車後、中央本線新守山駅に転属したようです(鉄道番外録巻末の「ないねんリスト」による)。 隣の大曽根駅から日車25t機(後に春日井へ転属)が転入するまで(1982(昭和57)年頃?)使われていたと思われます。


DB−7
  常 備 :愛知県営側線(名電築港)?
製 造 :1955(昭和30)年 加藤製作所
両 数 :1両
全 廃 :1960(昭和35)年

加藤製作所製の10t機。 日通機で引退が早く、どこかへ転属したものと思われますが詳細は不明。


GB−8
GB-8 ※形状は同じ森製作所製7t同型機から推定
常 備 :愛知製鋼(聚楽園)
製 造 :1955(昭和30)〜1956(昭和31)年頃? 森製作所
両 数 :1両
全 廃 :1962(昭和37)年

蒸機改造DL「森ブタ」で知られた森製作所製7t機ですが、こちらは一般的な産業用DLらしい鋳物台枠のL型機でした。 形式からもわかる様にガソリン機関車だったようです。 常滑線聚楽園駅から分岐していた愛知製鋼専用線で使われていました。


DB−9
DB-9 ※塗色は推定
常 備 :愛知県営側線(名電築港)→東レ(東名古屋港)
製 造 :1957(昭和32)年 加藤製作所
両 数 :1両
全 廃 :1971(昭和46)年

名電築港や東名古屋港で使われていた加藤製作所製15t機。日通機です。
DB-6と同型ですがヘッドライトの位置や前面窓の形状に違いが見られます。 1965(昭和40)年に名古屋臨海鉄道に引き継がれてますが、1970(昭和45)年に名古屋臨海で除籍、名鉄へ戻っています。 東レ専用線のDB-6と交代したようですが、東レの貨物扱いも間もなく廃止になったようで翌年には廃車となっています。
名鉄で廃車後は開業したばかりの西浜松駅へ転属。 倉庫会社の専用線で入換に使われて(鉄道番外録巻末の「ないねんリスト」による)いたようです。 1984(昭和59)年2月ダイヤ改正頃までは使われていたと思われます。




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