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日本の鉄道黎明期の1874(明治7)年にイギリスSharp Stewart社で製造された官設鉄道23号。 同時に製造された22号とともに日本へやってきました。 後に鉄道院160形165号となり、1911(明治44)年に164号(元22号)と名鉄尾西線の前身尾西鉄道が機関車交換で譲受(尾西鉄道は31号を鉄道院へ譲渡)。 尾西鉄道11,12号となりました。
尾西鉄道が名古屋鉄道と合併し、戦後まで在籍していた12号はその価値が認められ、名鉄が経営している博物館明治村で動態保存中。 明治村の代名詞的存在になっています。



明治村名古屋駅に到着した12号。 牽引している客車は羽後交通雄勝線でラッシュ輸送用に残っていた古典客車ハフ13+ハフ11+ハフ12。 こちらもローカル私鉄ファンにはたまらない逸品。 因みにバッファーリンク式連結器は1966(昭和41)年に廃止になった淡路交通の貨車から転用したものとか。



明治村東京駅での方向転換作業風景。 転車台の回し始めで、2人の職員さんが精一杯の力を籠めて回します。



ゆっくり走るとは言えごく僅かな折り返し時間のうちに方向転換、機回し作業を行う結構ハードな運用です。 人力で転車台を回す風景も貴重。



明治村東京駅の転車台から機回し線へ蒸気を吹き上げて元気に走る12号。 明治村の動態保存線にて順光で取れる数少ないスポットです。



12号の心臓部たるボイラーは老朽化のため1985(昭和60)年に新しいものに振り替えられています。 製造当初からのボイラーは動態保存線明治村東京駅近くのレンガアーチ橋下に置かれています。



リベットが多用されたいかついボイラー、現在のものは溶接が多用されており、1世紀間の技術の変化が感じられます。



昭和30年代までは名鉄に在籍していなかったので今回は省きましたが、同じ明治村で保存されている旧尾西鉄道1号機。 国内では珍しいアメリカのBrooks社製。軸配置も新製時から2B1と独特です。 合併後も名鉄1号機となりましたが1935(昭和10)年頃に廃車、その後は信越本線二本木駅の日本曹達専用線で使用されていました。




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